2013年10月29日

98. あなたはだあれ?(8)

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女王様がねえやを引き留めたのは、罰を決めるためではなく何となく話したい気持ちになったからだったみたいですね。

思ったことを何でも口にしてしまう女王様、時々感情のままにすごいことを言ってしまいますが、それは裏表がなく、逃げずに向き合ってくれるということでもあって、私は嫌いではありません。

働き蜂さんが、殺される予定の妹女王を庇うことは、実際にあるそうです。毒針を使った果たし合いになってしまってから仲裁に入ったりも。その場合、一度ケンカをなだめると、二度と殺し合いにはならず、人為的ではない二女王制が成立することも。

群れを一つの個体と見るなら、その個体にも個性が、性格があるように、温和な群れも厳しい群れもあります。でも、個々のミツバチさんたちの個性も馬鹿にできない幅があって、ミツバチさんがまだまだ進化していく途中なのだと感じさせられます。

近況にも書きましたが、ミツバチさんたちが好むというコセンダンとセイタカアワダチソウをご近所の目を忍んで放置して開花させた甲斐あって、我が家にもミツバチさんが来てくれるようになりました。訪花中のハチさんを目で追いかけるだけ、そんな限られた切ないおつきあいの中だけでも彼女たちの個性がよくわかり、可愛くて仕方がありません。

※基礎知識
新しく羽化した女王が巣板に胸を押し付けて翅を震わせ、眠っている妹を呼ぶ音をトゥーティング、王台の中から応える妹女王のたてる音をクワッキング、合わせてパイピングと呼ばれます。応える声をたどって妹を探し当てると、姉は自ら毒針を刺すか、王台の根元を齧って穴を開けて去る。後者の場合は働き蜂がよきにはからって次の処理ー妹女王を引き出して殺すことーを行います。

姉女王により妹女王の暗殺。ミツバチさんの暮らしの中でも人間の理解を超える超個体としての不思議さーある意味、怖さーを最も強く感じさせる習性のうちの一つではないでしょうか。

女王を失った時でも王台をあまり作らないし、巣分かれのための新女王も西洋ミツバチほど多くは作らない日本ミツバチでも、この現象は、あります。が、殺害を避けるために雨でも巣分かれしていったりすることもあるそうです。感傷的な意味をのぞいても希少な王乳をふんだんに使って育てた貴重な繁殖個体なので、できるだけ無駄にしないように努力するのは理にかなってもいます。

日本ミツバチファンとしては、こういうところでも温情的であることを嬉しく思うのですが、ただ、日本ミツバチさんを飼っている人達は趣味で飼っている人も多く、その分愛情をもって熱心に観察・記録されていることが多いので、細やかなことが表に出て来ている可能性もあることを頭の片隅には置いておいた方がいいかもしれません。

そもそも王台が複数作られるのは何かあった時の予備という意味が少なからずあるので、個々の蜂ではなく群れを一個体と見た時、これは不要になった細胞が体に吸収されるような現象に過ぎないのかもしれません。ですが、前述のように働き蜂が「よきにはから」わず妹女王を助け、結果的に姉が分蜂していくこともあるので、それは効率と合理性を追求した結果である超個体の全体意志という説明だけでは足りないように思える部分でもあります。

第一線で活躍している学者さんたちほど「まだまだ分からないことが多い」と繰り返すように、マイクロチップや赤外線カメラなどの登場で個々の蜂を巣房の中までも追跡することが可能となり、全てのゲノムが解読されたといっても、依然としてミツバチさんの暮らしは神秘に包まれています。

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posted by せいちんデザイン at 05:45| ミツバチ漫画